とんでもないこと

それは卒業式前日の夜8時。6年役員のTさんからの電話から始まりました。



まさかこの時、一睡もしないで卒業式を迎えることになろうとは思ってもみませんでした。


「Mちゃんが大変なの!明日の謝辞、どうすればいいんだろう!!」


Mちゃんとは、卒業生保護者を代表して式の最後に「謝辞」を読むことになっていた6学年の部長さんです。式の4日前から体調を崩し、実家に戻ったまま連絡が取れなくなっているという。前日に(電話のあった日)予定されていた予行練習にも顔を出さず、学校側も「謝辞は無し!」で最終の打ち合わせを終えた・・・と、Tさんの担任から連絡があり、私に救いの手を求めてきた訳です。



午後9時。Mちゃんのご主人に確認し、彼女との接触は絶望的となりました。というのも、体調を崩した原因が学年主任とのトラブルから・・・と言われ。トラブルは誤解と判明したのですが、Mちゃんとしては納得できずに「謝辞ボイコット」という強行に出てしまったのか。とにかく「謝辞」のない卒業式なんて、前代未聞の事態です。


午後9時50分。Tさんと相談した結果、どちらかが謝辞の代役を務めることにして、朝イチで学校側に連絡を入れることにしました。と、なれば「謝辞」を書かねばなりません。幸いにもPソフトのメンバーでもあるパパさんのお宅が、学校に出入りしている事務用品の販売業者であったこともあり、まだお仕事をしていたパパさん宅に伺い、すぐに専用の紙を手配することができました。


午後10時15分。専用紙(御巻紙)を受取り、パパちゃんの迎えを済ませ、電話をくれたTさんの自宅に伺いました。彼女は4年前に保護者代表の経験があり、過去に自分が読んだ文章を一部変えて清書したらどうか・・・と言ってくれました。


午後11時30分。翌日からパパちゃんは出張でした。荷物をまとめるうちに、出張に持って行くはずの(デジカメ)バッテリー充電器がないことに気づき、家中の捜査が始まりました。しかし、間違って捨てた?落とした??・・・1時間以上探しても充電器は見つからず。


私は卒業式用に購入した新しいデジカメを使うように言いいましたが、「卒業式に写真も撮れないじゃ困るだろう」と言われ、私の頭はパニック寸前、顔は半ベソ。結局、午前1時に捜査を打ち切ったパパさんは、隣町のドンキ○ーテまで3台目のデジカメを買いに行ってくれました。


深夜の捜査で、すでにヘトヘトな状態の頭でしたが、これからが戦いでした。まず、4年前の謝辞に目を通してみると、申し訳ないが「何だか・・・」といった文章で。Tさんが言うには、先生の添削を受けたそうですが、全体にスッキリしない構成で、先生方やご来賓の方に対するお礼の文章は中途半端だし、気持ちを込めたものとは言えない感じがして・・・すでに時間は午前1時30分。


電話をくれたTさんは、今日の明日では気持ちの準備も出来ていないし、髪はボサボサだし、とても代表なんて・・・と言っていた。もしかしたら私が読むことになるだろうと思われる謝辞なら、自分の言葉で言いたいし、自分の気持ちで伝えたいと思って。


2時間かけて文章を考え、鉛筆で下書きをし、筆ペンで一字一字を丁寧に仕上げ、午前6時05分に19年度の謝辞が完成しました。


午前7時に学校へ電話を入れ、前夜からの経過を話し「代役で読ませて下さい」とお願いしました。支度が遅れ気味だった長女を急がせ、午前8時前に登校。すぐに学年主任と体育館へ行き、リハーサルを行っていた時にTさんが現れました。そして、今年に限って本部役員にお願いするのもヘンだから6年役員の私が読むから・・・と。



 最後に書いてあるbenizakeを、自分の名前(Tさん)で読めばいいよね・・と。


寝ずに仕上げた謝辞ですが・・・気持ちをこめた謝辞ですが・・・「あぁ〜お腹空いた〜〜」なんて言いながら、あっけらかんと言われてしまっては・・・


   (お任せします。好きにやって下さい・・!)


本来、本部役員の出番でもないし私が代表になるのも確かにヘン。代わってくれるならそれでもいいけど・・・書き直すんじゃなかったー!!!


保護者席の最後尾に座り、長女の卒業を見守るつもりでいたのに、「もしも直前で泣き崩れていたら、代わりに読んで・・・」なんてことまで頼まれて最前列に座らされてしまうし。 おマケに、P会長の祝辞の途中で“コクリコクリ”と揺れる私を見て苦笑いするし・・・。



           こんな卒業式、もぅ〜〜〜イヤ!!


せめてもの救いは、パパちゃんが「(3台目のデジカメを買えば)お互いに気持ちよく一日が過ごせるだろう」と言ってくれたこと。そして、長女が立派にやり遂げたこと。
寝ずに仕上げた謝辞をTさんはキチンと読んでくれたこと。




謝辞の一節です。


 卒業生のみなさん、おめでとうございます。
 6年間の小学校生活は長かったですか?
 それとも、短かったでしょうか?
 お父さんお母さんは、一歩ずつ大きくなっていく姿を、
 いつも応援していました。
 中学生になっても、これからもずっと、応援させて下さいね。
 そして、○小で学んだことを忘れずに、
 強く優しく育ってほしいと願っています。




1月2日にひいた今年初の「おみくじ」です。

春風に池の氷が溶けるような運勢とは、こういうことなのか・・・・今年のサクラも咲きはじめました。