猫の話

あれは一ヶ月前の1月29日の朝でした。


旦那さんを駅まで送って戻ると、ガレージの隅に置いてある空き箱(3重構造)の猫ハウスから「ふわり」が出てくる。お泊りに来ない夜もあったけど、知らないうちにやって来てはエサを食べ昼寝をして過ごす。そして夕方になると縄張りへと出かけていく。これがいつもの「ふわり」の行動でした。
ところが29日の朝は、早い時間から家の外でニャーニャーと騒いでいたようで、鳴き声に気付いた母が外に出た。すると、右前脚を持ち上げるようにして、明らかにいつもとは様子の違う「ふわり」がいた。背中にはたくさんの血の痕も・・・。


車にひかれたのか?骨折しているのか?疲れきった様子で猫ハウスに横たわるが、エサを食べる気力もなく、目はうつろで弱々しい声でニャオと鳴くだけ。よく見ると血まみれの前脚は腫れていた。


「こんな姿になって・・・よく戻って来られたね」

自分を頼って来たんだと、勝手にそう思っただけでも涙が出ちゃって・・・でも、どんなに可愛がってあげてもノラ猫。人に抱かれることを嫌がるので病院に連れて行くこともできず、見守るだけが精一杯。そんな姿になっても夕方になると立ち上がって、ゆっくり、ゆっくり・・・前脚をかばいながら出かけて行こうとする。


「動いたらダメ。もう帰って来られなくなるって!!」それでも行ってしまいました。


次の日。
ふわりを待ちながら朝から花壇に居ました。お昼になっても姿を現さず、もう・・・と諦めかけた3時頃“ニャオー!”とひと声。それは、いつもの甘えた声ではなく、残る力を振り絞っての叫び声のような・・・慌てて家の裏手に廻ってみるとブロック塀の上にふわりが座っていました。不自由な脚でどうやって飛び乗ったのか? 手を出して下ろそうとする私を威嚇する。


「大丈夫だから・・・そっとね。」


傷口は悪化したのか、前脚を出すこともできない。でも、ぴょん、ぴょん・・と3本の脚でエサのある方へと歩いていく。そしてこの日も、夕方には縄張り巡回に行ってしまいました。


怪我をしてから3日目の日曜日。「このままだったら死んじゃうよ・・」という私に、「痛いままではかわいそうだしな・・」と旦那さん。空箱に詰め込むようにして病院に連れて行きました。診察の結果は、脚に残った歯型から推測して、猫同士による喧嘩だろうと。しかも、後脚も負傷しており、穴があくほどの歯型がついていました。前脚は重度の感染症、後脚は2針も縫うほどの傷で、全治2週間の怪我でした。


それから2週間、毎日傷口の洗浄に連れて行きました。ノミダニの駆除もやりました。家の中には猫のトイレも置きました。エサ入れも、猫ハウスも新品になりました。


たぶん、ノラ猫として生まれ、ノラ猫として過ごしてきた「ふわり」。ノラの生活に戻りたいのか家の中を徘徊します。窓を探して鳴きまくります。どうしてあげたらいいんだろう・・・と悩みました。でも、長生きして欲しいし、もう危ない目には遭わせたくない。悩んで、悩んで・・・家族全員の意向で「ふわり」を飼うことにしました。今日もリビングの真ん中で気持ちよさそうに寝ています。


      
       前脚の包帯が痛々しい、けど爆睡中〜
      
包帯が取れても、やっぱり爆睡〜〜
     
          かわいいニャ〜♪
       
        甘えてるときはこんな表情をしてます^^

はっきり言って猫の手も借りたいほど毎日なんですが、「ふわり」が幸せに過ごしてくれたら嬉しいです。